2014年5月16日金曜日

5月10日に開催された「ゆるHearthstone会」、国内初のリミテッド対戦会、そしてマリガン検討会の内容とは?

 東京・目黒区の緑ヶ丘文化会館でHearthstoneのオフラインイベント「ゆるHearthstone会」が5月10日13時、ボードゲーム「ドミニオン」などのイベント開催で有名なShinzakiさんの手によって開催された。
Shinzakiさんのブログ:不倒城

会場風景

 Hearthstoneのようなデジタルゲームのイベントが市民館で行われるのは珍しい。参加者16人がこぢんまりとした会場に集まって独特なルールのリミテッド対戦会を満喫した。以下、そのレポートである。

目次


ゆるHearthstone会
・緑ヶ丘文化会館 第2研修室
・ネット接続が関門
・フリープレイ
リミテッド対戦会
・スイスドローとは
・対戦相手への嫌がらせ
・スコア集計の手際良さ
用意したデッキ
・リミテッドの傾向
・世界チャンピオンとの遭遇
リミテッド対戦会開始
・ルネさんとの対戦
・yusaさんとの対戦
決勝戦
・4回戦(決勝戦) 第1試合
・4回戦(決勝戦) 第2試合
・優勝者インタビュー
・リミテッド大会の感想
・順位発表
マリガン討論会とイベントの感想
・マリガン討論会とは
・初期手札に何を残すか
・検討のおもしろさ
・イベント感想

ゆるHearthstone会

緑ヶ丘文化会館 第2研修室
 会場の緑ヶ丘文化会館は東横線自由が丘駅の北口から徒歩7分の場所にある。建物の中に入ると、壁のホワイトボードに「Hearthstone会・第2研修室」という文字が書かれていた。「目黒区緑ヶ丘学童保育クラブ父母会」や「気・自然健康保持会」といったサークル名と一緒にデジタルゲーム、Hearthstoneの文字が並んでいるのはなんともシュールな光景だ。


緑ヶ丘文化会館 本日の行事案内


「ゆるHearthstone会」会場となる緑ヶ丘文化会館 第2研修室

 私が第2研修室に着いたのはイベント開始13時の少し前で、主催者のShinzakiさんが忙しそうに名札や機材の準備をしていた。長方形の机が4列縦に並び、20人前後の使用にちょうどいい小さな部屋だったが、そのこぢんまりした感じがいかにも「同好者の集まり」という雰囲気を醸している。私も初めて来たのに馴染みの場所のような気になった。


こぢんまりとした空間の1室。右で名札を用意しているのが主催者のShinzakiさん


Shinzakiさんが用意した名札と色鉛筆



 参加者は自身のBattletagを首から提げる名札に記入する。これによって対戦会でのお互いのフレンド登録がスムーズに行えた

ネット接続が関門
 ネットカフェなどと違って市民館には備え付けのPCがないから、「ゆるHearthstone会」の参加者は各自でHearthstoneがプレイ可能なタブレットまたはノートPCを持ち込む必要がある。対戦のネット環境もないため、参加者は自分で無線Wifiを持って来るか、他人の無線Wifiに相乗りさせてもらうしかなかった。なお、参加者たちの無線Wifiの回線名とパスワードは机の上にあるA4紙の一覧表に手書きしてまとめられていた。

 私は今回、父から借りたタブレットを持ち込んだものの、Hearthstoneがプレイできる無線Wifiを持っていなかった。よって一覧表にあるWifiの1つを使ってインターネットへの接続を試みた。

 ところがこのタブレットは反応が悪く、ソフトウェアキーボードのキーをタッチしてもパスワードをうまく入力できない(最初、文字設定が全角だったのに気が付かなかったこともある)。そのほか、画面に無線Wifiがなかなか表示されなかったり、間違えてWifiの回線名をパスワードに入力したりしていたから、ゲームできるようになるまで30分ぐらいはかかったように思う。

フリープレイ
 ネットに接続できた参加者から次第に、Hearthstoneの練習と対戦環境の確認を兼ねたフリープレイがスタートした。このフリープレイには1時間が割り当てられており、独自ルールのリミテッド対戦会のスタートは14時の予定になっていた。

 私もプレイできるようになるとさっそく、近くにいた人を誘ってHearthstoneの対戦を始めた。プレイヤーの反応が即座にわかるのがオフラインイベントのおもしろさである。こちらが優勢になると「うわっ…この状況どうしよう…」と相手が悩んでいる様子が聞こえてくるのはなんともいえない心地良さがある(逆にこちらが劣勢になると調子に乗っている様子もよくわかる)。



PCを並べて対戦する参加者の様子


普段はe-sports SQUARE AKIHABARAでスタッフとして働いているドイツ人のSOlarさん(左)も参加


ホワイトボードに書かれた「ゆるHearthstone会」の日程表

 さすがに主催者のShinzakiさんは対戦会の進め方を十分に心得ている。頃合を見ては「手が空いている(ゲームが終わっている)方、手を上げてください。その中で適当に対戦しましょう」などと音頭を取っていた。
 イベントがスムーズに進行するか否かは「はっきりとした声で行動を呼びかける」人がいるかどうかにかかっていると思う。このようにリーダーシップを発揮できる人がいれば参加者も迷わずに済むのでイベントも支障なく進んでいく。

 また、Shinzakiさんはフリープレイだけでなく「ネットにつながっていない方はいらっしゃいますか?」と、参加者への配慮も忘れない。ネット接続に苦戦していた私にも「予備のノートPCを持っていますから最悪の場合はそれをお貸ししますよ」と、言葉をかけてくれた。

スイスドロー形式のリミテッド対戦会


スイスドローとは
 14時を過ぎ、すべての参加者がHearthstoneを問題なくプレイできることが確認できると、主催者のShinzakiさんから「ではそろそろリミテッド対戦会を始めましょう」という声がかかった。

 リミテッド対戦会の進行方式はBO3のスイスドロー形式。これも参加者総当りなのでリーグ戦と形式が似ているが、2回戦以降の対戦の組み合わせ方が異なる。2回戦では最初の総当りにおける「勝者と勝者」、「敗者と敗者」で対戦を組む。3回戦では「全勝の選手」、「1勝1敗の選手」、「全敗の選手」の間でそれぞれ対戦して、以降も同様に成績が同じ選手同士で対戦していく。これを全勝のプレイヤーが1人になるまで(明確に勝者を決定する場合は)続けるのだ。
 16人のスイスドローなら全勝の選手は1回戦後8人に、2回戦後4人に、3回戦後2人になる。したがって4回戦目で全勝2人同士の対戦となって決着が付くことになる。

 16人のトーナメントと比べると、全勝の選手ならば試合数は変わらないものの、負けてしまった選手でも大会での試合を続けられるというのが大きな違いである。トーナメントでは「実力トップクラスの2選手が序盤に当たってしまい、そこで負けると本来上位に行けたはずのプレイヤーが何の成績も残さずに敗退とする」ことがよく起こる。しかしスイスドローなら負けても試合を続けられるので運の要素も小さくなって、強い選手が実力に応じた成績を残しやすいと言えるだろう。

 一方、すべてのプレイヤーと総当りするリーグ戦の場合、実力こそ反映されやすいが、プレイヤーが16人いれば15回試合を行う必要があるため恐ろしく時間がかかる。つまり、スイスドローは「時間がかからず、かつ実力が順位に反映されやすい」というトーナメントとリーグ戦の良いところを取ったような形式なのである。

 海外ではスイスドローは割と行われる形式で、週間大会では「ManaGrind's Friday Night Swiss」がスイスドロー形式である。
 先日開催されたEUと中国の選手による頂上対決、「Hearth2P EU VS CN Masters」のEU代表選抜予選でも参加選手が16人に絞られるまではBO1のスイスドローだった。
参考記事(ニコニコ大百科):スイスドローとは

対戦相手への嫌がらせ
 ただし、リーグ戦でもそうだが、スイスドローはトーナメントと違って同率の選手が多く出てしまうため、「同率の選手間の順位をどうつけるか」がちょっとした悩みである。
 「勝利数が同じならランダムで対戦を組む」というのも1つの方法だが、今回の「ゆるHearthstone会」では「各試合の残Healthの合計値」によって同率選手の順位を決め、その順位に基づいて次の対戦を組むことにしていた。

 参加者は各試合が終わった後、大会のスコア集計シートに勝敗と残Health量を、「0-28(Health0対28で負け)、25-0(Health25対0で勝ち)」というふうに記入する。大会はBO3なので、その合計値(たとえば、2勝1敗で残りHealthがそれぞれ25-0-10なら35)がスコアとなって順位が決まるのである。


スコア集計シート


スコア記入例

 残Healthが順位に影響する。それは「負けが確定していても、相手のHeroのHealthをできるだけ削ったほうが相手の順位を落とせる」ことを意味する。
 この仕組みによって、大会では「全Minionの攻撃とありったけのSpellを相手Heroに撃ち込んでから投了する」といった対戦相手への嫌がらせが行われるようになった。
 ほかの試合では単なる悪あがきに過ぎないことだが、今回は相手の順位に影響するため、嫌がらせとして立派に機能するのである。

スコア集計の手際良さ
 また、スイスドローでは最初から選手のすべての試合の対戦順が決まっているわけではない。そのため、「各ラウンドでの対戦が終わる度にスコアを集計して次の対戦を組む」というふうに運営に負担がかかるのも難点だ。

 しかし、順位を集計する主催者のShinzakiさんの動きは素早く、しかも手馴れていた。参加者からスコア集計シートを回収した後、勝利数と残Healthの合計値をシートに記入し、上から順にシートを並べていく。上から並んだ2組が次の対戦の組み合わせとなるわけだ。この間、5分もかかっていない。私があまりの手際の良さに舌を巻いて、「随分慣れていますね」と口にしたところ、彼は「よく(同じスイスドローの)『ゆるドミニオン会』という集まりをやっていたんです。あちらは参加者が60人ぐらい来ることもあって、もっと大変なんですよ」という答えが返ってきた。


主催者のShinzakiさんによるスコア集計シートの並べ替え。上から勝利数とHP合計が多い順に並べられている

用意したデッキ


 「ゆるHearthstone会」のリミテッド対戦会は勝者が同じデッキを使い続けるBO3形式で、参加者は後述のカード制限に基づいて2Heroのデッキを用意する。ラウンドとラウンドの合間にデッキのカードを入れ替えることは可能だが、BO3の試合中はデッキ調整ができない。

 リミテッド対戦会では「EpicとLegendary」「Hero固有のRare」の使用が制限される。つまり、デッキに入れられるカードは「中立のRare以下のカード」と「各Hero固有のCommonカード」だけなのだ。

 当日、私が用意したデッキはZoo Warlockと、かつてアメリカのトッププレイヤーのTrump氏が無課金でLegendaryに到達したというMageデッキを大会用にアレンジしたものである。

 Zoo Warlockはトッププロの大会でも見かける一線級のデッキでありながら、大半がRare以下のレアリティのカードで構成されているのが特徴だ。Rare以上のHero専用カードはDoomguardだけで、これはCharge持ちの中立Minion、Argent Commanderなどで代用できる。
 Mageのデッキもまた、構築戦と比べてもほとんど見劣りしないデッキになっている。FireballFrostboltWater ElementalといったMageのキーカードの大半がCommonだからだ。
 一方でShaman、PriestといったHeroは悲惨である。Lightning StormAuchenai SoulpriestといったそのHeroのキーカードが軒並み制限されるからだ。

リミテッドの傾向
 LegendaryやEpicを制限するリミテッドではControl(長期戦型)のデッキが弱くなり、「Aggro(速攻型)とMidrange(中速型)のデッキが強くなる傾向にある。これはYsera、Ragnarosといった長期戦で強力なMinionがLegendaryに集中しており、使用が制限されるからだ。

 トッププロの大会でも見かけるZoo WarlockはAggroだから、対戦会でも使用率が増えることは間違いない。そう考えた私は、「Zoo Warlockに勝てるMageのデッキを作ろう」と思い、同じ参加者のyusaさんとnoaさん、そしてSOlarさんに協力してもらって、対戦会の前日にZoo WarlockとMageの相性を研究した。すると当初私が思っていた以上に「Mageの動き出しが遅く、Zoo Warlockに盤面を圧倒されて対処できなくなる」という展開が多かったので、デッキには全体除去とTauntを多めに入れることにした。

 中でもWild Pyromancerの全体ダメージはZoo Warlockに有効であるほか、Amani BerserkerAcolyte of Painの効果も起動できる。こうしたトリッキーなカードを入れたことで、なかなかおもしろいデッキに仕上がったと思う。唯一の懸念はAggroデッキ用に序盤のカードを増やしたために、長期戦で強いカードを引けないである。


私のMageとWarlockのデッキ

世界チャンピオンとの遭遇
 14時を過ぎ、「前に来てスコア集計シートを取っていってください!」と主催者のShinzakiさんが音頭を取ったところで、ノートPCを手に、黒いポロシャツに身を包んだ男性が入って来た。高ランクのLegendaryプレイヤーのルネさんである。


Legendaryプレイヤーのルネさん

 私はルネさんに会うのは初めてなのだが、以前e-SQUの第2回のHearthstoneのオフラインイベントで女性プレイヤーのNoaさんにインタビューしたとき* にその名前を聞いていたので、ぜひ会ってみたいと思っていた。
* 参考記事:〈e-Sports SQUARE AKIHABARA〉2回目の〈HS〉イベント開催―世界トップクラスのプレイヤーも来場!

 ルネさんもともとボードゲーム「ドミニオン」のトッププレイヤーで、2011年に行われたドミニオンの世界大会では全勝で世界チャンピオンになった*2 という実績を持っている。このように戦略ゲームでは神がかり的な強さを持つルネさんのことだから、Hearthstoneもあっという間にトップクラスのLegendaryに躍り出たというわけだ。今回のリミテッド対戦会には時間の都合で参加しない予定だったそうだが、たまたま時間の都合がついたので、今からデッキを作って参加するということだった。
*2 参考記事:ピコピコカルチャージャパン - タナカマコトの「手番ですよ。」第27回「『ドミニオン世界チャンピオン!ルネさんに聞く!』ロングインタビュー」

 そんなルネさんは今回のリミテッド対戦会のルールをどう考えているのだろうか? 気になって聞いてみたところ、ルネさんはデッキ構築中にもかかわらず、今から使おうという自身のMageデッキを紹介してくれた。「Icy winds*3 というAggro Mageが強いと思っていて、それを調整したものを対戦会で使う予定です。これだけ明らかにデッキパワーが強いですね。(序盤から殴ってダメージSpellで止めを刺すという)コンセプトもわかりやすくて、Zoo Warlockにも70~80%の勝率があります」
*3 参考記事(Hearthpwn):Icy Winds (If you can't beat 'em, join 'em)

 このAggro MageはSorcerer's Apprenticeを出すことで各種Spellのコストが安くなるのがポイントだ。1マナになったFrostboltで3点、0マナのIce Lance2枚で8点、3マナのFireballで6点というふうに、合計6マナで17点のダメージを1ターンに叩き出せる。
 では、ルネさんが対戦会で特に警戒しているデッキはあるのだろうか? それについては「警戒しているのは同じAggro Mageなので、それに対抗できるDruidのデッキを組んでいます。(同じAggroの)Zoo WarlockもDruidで止まるんじゃないでしょうか。Keeper of the GroveAncient of LoreAncient of Warがないのが辛いところですが、相手のデッキにもLeeroy JenkinsDoomguardがいないから打点が足りないんですよ。Druid of the ClawMark of the WildSunfury ProtectorなどでTaunt付きのAncient Watcherを出せば、Zoo Warlockには小さいMinionしかいないので止まると思います。序盤に展開されたとしても、ClawWrathを使って除去できますから。ただ、このデッキは実際に回したことはないですし、私はどちらかというとMageで勝つつもりですけどね」とのことだった。

リミテッド対戦会開始


ルネさんとの対戦
 ところが、大会というのは不思議なものだ。対戦会が始まってから、私は1回戦をArisさんに勝利すると2回戦でLegendaryプレイヤーのルネさんと対戦することになった。ルネさんには先ほど自身のデッキを解説してもらった、つまり、私はルネさんのデッキに入っているカードやデッキのコンセプトがすべてわかっているのだ! 絶大なアドバンテージを前に「お互いにデッキを組み替えましょうか」と申し出たのだが、とはいえ1からまったく別のデッキを作るのも難しい。結果、予定通りのデッキで対戦することとなった。


ルネさんとの対戦



リミテッド対戦会が始まると参加者は真剣にプレイしていた

 第1試合目は私のWarlock対ルネさんのMageの試合となった。Zoo Warlockには勝率が高いというルネさんのデッキだが、序盤をさばければ手札の差で圧倒できるはずだ。

 ところが試合の途中、ルネさんのMageに盤面を取られ、ここからどう挽回しようか、というところで回線状況が怪しくなった。Minionで攻撃指定をしても反応がない。するとターン中の制限時間がなくなり、なんとルネさんにターンが流れてしまった! 「これはどうすればいいんでしょうか…このターンで決められるんですけど」と対戦相手のルネさんも苦笑する。それを見た主催者のShinzakiさんは「うーん、ディスコネクトのことは考えていなかったですね。1回、何もしないでターンを流してもらえますか」と指示し、ルネさんはそのターンを流すことになった。
 とはいえ、ターンを流すといっても手札とマナクリスタルが増えるので、問題発生前とまったく同じ状況にはなりえない。意図した事態ではないとはいえ、「私のタブレットの動作が不安定だった」ことが原因の1つだと思う。1戦目はそのままAggro Mageに押し切られて負けてしまったのだが、これを勝ったとしても私は素直に喜べなかっただろう。


バグが発生した場面、ここから何もできずにターンがルネさんに移ってしまった

 2戦目以降は私のタブレットでゲームを続けるのは不安がある、ということで、Shinzakiさんにお願いしてShinzakiさんの予備ノートPCでプレイさせてもらった。さすがに申し訳なく感じたので、次の開催までにはHearthstoneがスムーズに動くノートPCまたはタブレットを購入しようと思っている。

 その後の試合は私のMageのAggro対策がルネさんのMageにヒットし、続くDruidにもデッキがうまく回って2-1で勝利。とはいえ、ルネさんのデッキの内容をすべて知っている私に分がなかったとは言えないだろう。回線問題もあり、自分なりに反省点の多い試合だった。

yusaさんとの対戦
 3回戦の相手はe-SQUの大会で何度も会い、かつ前日にも練習試合を行ったyusaさんとの対戦である。使用Heroはお互いにWarlockとMage。


yusaさんとの対戦

 Mage(nemuke)対Warlock(yusa)で向かえた第1試合では、初手にどのカードを選択するかが1つのポイントだった。私がルネさんとの対戦していたとき、近くでyusaさんとShinzakiさんの試合が行われていたのだが、そのときに「やっぱりHandlockだったか(Shinzakiさん)」「ええ、Silver Hand Knightが入ったHandlockですよ(yusaさん)」というやり取りが聞こえてきたのだ。

 HandlockというのはAggroのZoo Warlockとは別種の、WarlockのControlデッキのことである。前日の練習でも、yusaさんはZoo Warlockの使用に苦戦している様子だったし、直前の試合が終わってからデッキのカードをZoo Warlockに組み替えるにも時間が足りなくて難しいはずだ。「なるほど、yusaさんのWarlockはHandlockか…」そう判断した私は、対Aggroに強い全体除去を外し、マナコストの比較的高いカードを初手に残すことにした。

 ところが第1ターン、yusa選手の場に出てきたカードは予想に反してArgent Squireという1マナのMinionだった! 序盤に強力なこのカードが入っているということは、明らかにyusaさんのデッキはHandlockではなくAggroのZoo Warlockである。やられた! yusaさんは試合後にすばやくデッキを組み替えたか、あるいは短時間で切り替えられるように予め2つのデッキを用意していたのだろう。やはり初手に全体除去を残しておくべきだったのだ。

 しかし、ターンが進むと私は幸いにもArcane Explosionなどの全体除去をタイミングよく引くことができ、yusaさんが展開した小型Minionを一掃。そこから中盤に強いMinionを出して固め、第1試合を勝つことができた。

 続く2戦目のMage対決は落としてしまったものの、3戦目では私のZoo Warlockがひどいぐらいにぶん回って勝利。運に味方される形で私は4回戦に進出し、同じく全勝のmasamさんと優勝をかけて対戦することになった。


nemukeとmasamさんのスコア集計シート

決勝戦


4回戦(決勝戦) 第1試合
nemuke(Warlock) 対 masam(Mage)
 masamさんの使用HeroもWarlockとMageである。私は先発に今まで通りZoo Warlockを使用すると、第1試合はZoo Warlock対Mageの試合になった。Mageは4マナに強力なMinionやSpellが多いものの、序盤の展開速度ではZoo Warlockに適わないため、序盤に盤面を固めることができればZoo Warlock有利というのが私の考えだから、マッチアップを見た時点では勝てると思っていた。

 ところが、試合のその序盤は真逆の展開になった。masamさんは第1ターンからSpellを唱えるたびにAttackが強化されるMinion、Mana Wyrmを出していき、続くターンで私の展開したMinionをSpellで除去すると、Spellを使ったことで強化されたMana Wyrmで私のHealthを削っていったのである。

 この展開に私は4点ダメージのSoulfireなど、Mana Wyrmを除去できるカードがほしくなったが、来るのはAbusive SergeantDark Iron Dwarfなど、場にMinionがいないと使えないMinionばかり。なんとか4ターン目に4/3まで成長したMana Wyrmに止めを刺すことはできたものの、その時点で私のHealthは残り18点を切っていた。これはWarlock対Mageにとって極めてまずい展開である。

 Warlockの強みは2点のダメージと引き換えにHero PowerのLife Tapでカードを引けることにあるのだが、Mage相手にHealthが減ると、FireballなどのダメージSpellで一気に致死量のダメージを受けてやられかねない。つまり、「Life Tapを使いたくても相手のSpellが怖くて使えない」という状況に追い込まれてしまうのだ。


Healthが10点しかない状態ではLife Tapも使いにくい

 カードを引けないと場にMinionを揃えるのも難しくなるから、次第に相手のMinionに盤面を圧倒されていく。結果、最後までこの不利を挽回することができずに投了となった。(nemuke vs masam 0-1)

 ところで、Mana WyrmはSpellを使わなければただの1/3のMinionである。相手の場にMinionなどの対象がいればSpellも撃ちやすいのだが、何もいないときはやはり撃ちにくいものだ。となると、「私が場にMinionを出したことが逆に、相手のMana Wyrmを成長させ、受けるダメージを増やしてしまった」ということになる。したがって、ダメージを減らすという意味では、「第1ターンのMana Wyrmを見たら、手札に対処できるカードがない限りは場にMinionを出さない」というのが正しい行動だったのかもしれない。

4回戦(決勝戦) 第2試合
nemuke(Mage) 対 masam(Mage)
 2戦目はMage対Mageの試合になったが、私のMageはyusaさんとの試合でも負けてしまったように、Mageの対決があまり得意ではない。

 試合では後攻1ターン目からコインを使って1マナのMinion、Argent Squireを2枚場に出して攻めを急いだ。第1試合を見た限り、相手のほうが長期戦強いカードが多いデッキ構成だったから、私に勝てる可能性があるとすれば「序盤から積極的に仕掛けていって、長期戦になる前に決着をつける」ことだけである。

 しかし、Argent SquireのAttackは1点しかなく、それほど相手のHealthを削れない。次第に相手の場に4マナのWater ElementalChillwind Yetiが登場し、私は一転して防戦を強いられるようになった。ここでFireballなどの除去をタイミングよく引ければいいのだが、来るカードはArcane ExplosionWild Pyromancerといった全体除去のカードばかり。やはりAggro対策に傾倒しすぎたせいで、Mageに強いカードがほとんど入っていないのが問題だった。続くターン、masamさんが次々と強力なMinionを展開していくと私の手札には対応できるカードがなく、おまけにEarthen Ring Farseerでせっかく削った相手のHealthも回復させられ、もうお手上げだった。(nemuke vs masam 0-2)


後半にMana Wyrmを育ててがんばるも、Polymorphで除去されてしまう

優勝者インタビュー
「手札が事故らないようにデッキを構成していました」リミテッド大会優勝者masamさん
 決勝戦で負けた直後の私は、「手札にいいカードが来なかった!」と自分の運を恨む気持ちでいっぱいだった。しかし、私はレポーターだから、客観的にイベントをレポートしなければならない。私は悔しさを押し殺し、リミテッド大会優勝者のmasamさんにインタビューした。


優勝のmasamさん

 masamさんは30代の洋ゲープレイヤーである。「World of Warcraft」といったBlizzardのWarcraftシリーズが好きで、その流れで同じWarcraftシリーズのHearthstoneもプレイを始めたそうだ。Hearthstoneでは背景をよく知っているキャラクターがカードになって登場するところが特に楽しいといって、こんな話をしてくれた。「Illidan Stormrageのような弱いLegendaryもなんとかして使いたくなってしまいますね。今シーズンのカードバック報酬として追加されたBlack Templeも、実はWorld of WarcraftでIllidan Stormrageに関係したステージとして登場したマップなんですよ」

 簡単な紹介を終えると、私はさっそく気になっていたmasamさんのMageのデッキ構成について聞くことにした。未だに「自分のデッキのほうが強いはずで、決勝戦で負けたのは何かの間違いだ」という思いが頭の中でぐるぐる回っていたからだ。しかし、そんな私の思い上がりはmasamさんの洗練された考え方の前に打ち砕かれる。masamさんは次のように言って、そのデッキ構成を紹介してくれた。
 「2~3マナのカードを少なくして、Midrange寄りに作っています。戦い方としては序盤を除去で凌いで、中盤から終盤にかけて大きなMinionを出していくという感じですね。相手Heroはあまり狙っていきません。Mana Wyrmも相手のHeroを殴るというよりは相手のMinionと相打ちを取っていきます。(中速のデッキなので)初手にWater Elementalといった4マナのカードも残しますね。
 序盤の防御が少ないので、Aggroデッキに押し込まれる展開もありますが、4マナのWater Elementalが場に出ればなんとかなります。
 また、3点のHealthを回復するEarthen Ring Farseerは3/6のWater Elementalと一緒に使うとすごく効果的でした。たとえば相手のSen'jin ShieldmastaWater Elementalで殴ったあと、Earthen Ring Farseerで3点回復して、Fireblastで1点のダメージを飛ばします。すると相手は凍って動けないから、次のターンにFire Blastで除去できるんです。カードを減らさず、全回復したWater Elementalを残せるので一気に盤面が有利になりますね」

 Earthen Ring FarseerがMageのデッキで使えるなど、私は想像もしておらず、大きな感銘を受けた。そのまま私がついに対戦する機会のなかったWarlockのデッキについても聞いてみると、「これはZoo Warlockで、手札が事故らないように構成しています。たとえばArgent Commanderは強いのですが、6マナの重いMinionを2枚入れるとそれだけ事故る確率が上がってしまうので1枚にしたり、(Minionが場にいないと効果を使えない)Dark Iron Dwarfも抜いています。
 (Zoo Warlockの使用率が高いと思ったので、)Zoo Warlockの対策のカードを多めに入れています。たとえばKnife Jugglerを止められるIronbeak Owlや、(Health1のMinionを潰せる)Elven ArcherはZoo Warlockの対決ですごく強いカードです」と、手札事故を起こさないこととZoo Warlockの対策を入れることを強調していた。


masamさんのデッキリスト(Midrange Mage、Zoo Warlock)

 masamさんはずいぶんZoo Warlockに詳しいわけだが、それもそのはず、masamさんはZoo Warlockを主に使ってLegendaryに到達したことがあるプレイヤーなのだ。masamさんに普段のRankedプレイについて聞いてみた。「Rankedは主にZoo WarlockとMurlock Warlockを使ってプレイしています。(RankedはZoo WarlockとHunterが多かったので)デッキにZoo WarlockとHunterの対策を多く入れることで、効率よく勝利数を稼いでLegendaryまで行けました。
 ただ、Zoo Warlockは手札事故が少なくて安定している分、動き方がいつも同じなので対策しているデッキに勝てないんですよね。最高でLegendary100位ぐらいまで行きましたが、そこからはみんなZoo Warlockを対策しているので、それ以上はいけないですね。
 あとは、Hearthpwnなどにアップされているデッキをコピーしてプレイすることもあります。ほかのデッキを使うと、そのデッキの嫌がることがわかるようになるんですよ」

 ところで、masamさんはBO3の試合でMageを先発に、Zoo Warlockを2番手に使っていた。こうしたデッキの使用順番にも理由があるのだろうか? するとmasamさんはこういって、デッキ同士の相性関係について教えてくれた。「ほかのカードゲームでもそうなんですが、Aggro、Midrange、Controlの3つのアーキタイプは、『MidrangeがAggroに強く、AggroがControlに強く、ControlがMidrangeに強い』という3すくみの関係になっているんですよ。なので、私のMidrangeのMageを出した場合、負ける可能性が一番高いのはControlなんですよね。だからControlに強いAggroのZoo Warlockを2番手に用意していました」

 では、今回の対戦会に向けてmasamさんは今回の対戦会に向けてどう準備したのだろうか? それについては「海外のリミテッド大会ではHeroレアが制限されていなくて、デッキをそのまま持ってこられないからちょっと考えましたね。(リミテッドはカードが弱くなって)Hero Powerの重要性が増すので、Hero Powerが強いWarlockとMageにしたんです。(リミテッドのデッキでは)DruidやMageなど、やはり1点のダメージを与えられるHeroが強いと思います。
 練習はRankedでやりました。デッキの回し方と、どんな展開があるかがわかればいいと思い、『どんなカードが来たら嫌だろうか』と想定しながらやっていたんです。ときどき勘違いしてしまってリミテッド対戦会で使えないカードをデッキに入れたりしてしまいましたけどね(笑)」と話してくれた。

リミテッド大会の感想
 このように、対戦して負けた相手に話を聞けるのもオフラインイベントの醍醐味である。masamさんにデッキ構成や対戦会への準備を聞いた後は、決勝戦直後の私にくすぶっていた「運が悪かった」という思いははるか彼方に消え去っていた。自分とmasamさんの間に明らかな実力差があることがわかったからだ。他人の視点から自分のゲームを振り返ることで、また1つ成長することができる。今回の経験を胸に、私は自分のデッキをより洗練させて次の大会に臨むつもりである。

 そのほかに、今回のリミテッド対戦会自体の感想も述べておきたい。最も良いと思った点は、私のように「トレンドを知らないプレイヤーでも同じ土俵で対戦できる」点である。私はMiracle Rogue、Control Druid、Midrange Hunterなど、有名なデッキを回したことがないため、通常の大会に出場しても「相手の使うデッキを知らなくて何をやればいいのかわからない」ということが多々あった。

 その点、リミテッドならデッキの傾向が狭まり、トレンドも何もない状態になるため、Rankedを大量に回すプレイヤーが相手であったとしても(もちろん全体的なデッキの理解に差はあるものの)、比較的差が少ない状態で対戦できるのだ。デッキの幅が少ないことで逆に対戦を楽しむことができるというのは意外な発見であった。

 今回の「LegendaryとEpicに加えてクラス専用のRareを制限」というルールについては、参加者の使用HeroがCommonカードの強いMageとWarlockに大きく偏っていたので、個人的にはHero固有のRareを開放してもいいと思った。デッキの幅を広げるという意味では「1種類だけLegendaryまたはEpicを許可」というのも、おもしろいのではないだろうか。

順位発表
 リミテッドの対戦会終了後、主催者のShinzakiさんより最終順位が伝えられた。
 最終順位は下記の通りだ。 スイスドローでは勝利数と残りHealthの合計値によって順位が決まる。私は幸いにして残りHealthの合計値が3勝プレイヤーの4人中、122点でトップだったため、今回の大会では2位につけることができた。
参考記事:ゆるHearthstone会結果発表会会場

 最終順位(勝利数・残りHealth合計値)
優勝:masam(4勝・137)
準優勝:nemuke(3勝・122)
3位:yusa(3勝・118)
4位:SOlar(3勝・111)
5位:いとお(3勝・80)
6位:やよ(2勝・139)
7位:Shinzaki(2勝・132)
8位:のあ(2勝・81)


スコア集計シートを並べて最終順位を伝える主催者のShinzakiさん(中央)

マリガン討論会とイベントの感想


マリガン討論会とは
 masamさんへのインタビューを終えると、時間は夜18時を過ぎていた。会場ではフリー対戦のほか、主催者のShinzakiさんが「一度やってみたかった」というマリガン討論会が部屋の中央で行われている。そこでは対戦するShinzakiさんとルネさんを囲み、何人もの参加者がプレイングについて話し合っていた。


マリガン討論会の様子。向かい合うルネさん(左)とShinzakiさん(右)を囲み、参加者がいろいろと意見を出し合う

 マリガン討論会は、「ルネさんとShinzakiさんが「どんなことを考えてプレイしているか」を解説し、そして『プレイ中の最善の行動』を周りと検討しながら対戦する」というもの。対戦する2人は向かい合って喋りながらプレイするから、お互いの思考が聞こえるし、手札も見えるのだが、ゲームではあくまで「相手の手札が見えていない前提」の最善の行動を選択する。
 レジェンダリーの高ランクで日々対戦を繰り広げているルネさんは、おそらく会場内で最も実力の高いプレイヤーのはずだ。そんなルネさんは毎ターンの行動をどんなふうに決めているのか? 興味を引かれて私が見に行ってみると、ちょうどルネさんのDruidとShinzakiさんのMiracle Rogueの対戦が始まるところだった。

初期手札に何を残すか
 ゲームが始まり、ルネさんの手札にAzure DrakeSen'jin Shieldmasta(Sen'Jin)、Innervateの3枚が表れた。このうち何を残し、何を外すべきか? ルネさんは「まず、Sen'JinとInnervateの2枚をキープします。Miracle RogueにはSen'JinやChillwind Yetiで最初から殴っていく流れがすごく強いんですよ。Azure Drakeは序盤は使わないので外しますね」といってSen'JinとInnervateを手札に残した。


ルネさん(左)とShinzakiさん(右)の初期手札

 一方、Shinzakiさんの画面に現れたのはSI:7 AgentCold BloodGadgetzan AuctioneerShadowstepの4枚である。ここで真っ先に議論の対象になったのは「初手にGadgetzan Auctioneerを残すかどうか」だった。Shinzakiさんが「SI:7 Agentは残すとして、Cold Bloodはいらないですね。Gadgetzan Auctioneerも最初に持っていても仕方がないから抜きましょうか」というと、周囲からいろいろな意見が出た。

 「いや、ダメですよ。Gadgetzan AuctioneerはMiracle Rogueのキーカードなので、ここで外して、後半に引けなくなったら困ります」
 「Gadgetzan Auctioneerを引けなくても勝てる流れはありますよ。カードを大量に使って強化されたEdwin Vancleefを出すとか」
 「ぼくだったらGadgetzan Auctioneerを残しますね…。相手がDruidなら攻めがそんなに早くないと思うので、余裕があると思います。Warlockが相手だったらZoo Warlockの可能性があるので外しますが」
 「30枚のデッキに2枚入っているGadgetzan Auctioneerを5ターン目までに引ける確率ってどのぐらいあるんでしょうね?」

 こうしたやりとりを聞いたShinzakiさんは、「私のMiracle RogueはEdwinが入ってないんですよね…。そうなると、Gadgetzan Auctioneerは本来残しておきたくないカードですけど、事故が起こる可能性を考えると、残しておくのもありかなという気がしますね」といって、Gadgetzan Auctioneerを初期手札に加えた。

検討のおもしろさ
 先攻2ターン目、ルネさんがInnervateを使ってSen'jin Shieldmasta(Sen'Jin)を場に出した。Shinzakiさんは次のターンの最善の行動をこう分析する。「これは割とRogueにとってゲンナリする流れですね。コインSI:7 Agentで2点のダメージをSen'Jinに与え、次のターンに相殺を狙うのがいい気がします。Druidには除去カードが少ないので、Sen'Jinを守ってSI:7 Agentが倒されることもないと思います。相手の手札にWrathがあって、SI:7 Agentが倒されるのが唯一嫌な展開ですが」
 この考えには周囲も同調したため、Shinzakiさんはコインを使ってSI7 SI:7 Agentを場に出し、ルネさんのSen'Jinにダメージを与えていった。


SI:7 AgentSen'jin Shieldmastaにダメージを与えた場面

 3ターン目にルネさんは相手の武器を破壊するMinionのAcidic Swamp Ooze(Ooze)を引く。なお、前のターンにもOozeを引いていたので合わせて2枚のOozeが手札にある。この場面の自身の考えを、ルネさんはこう解説する。「Miracle RogueにはできるだけHealthを削っておきたいので、場のSI:7 Agentは無視して本体を攻撃します。ここでOozeを出して攻めていくかどうかが悩ましいですね。1枚目のOozeを出して相手に『2枚目のOozeはないだろう』と思わせ、武器を使ったところで2枚目のOozeを出す、という戦い方もできるのですが、こうした展開でよくあるのがDeadly Poisonで強化した武器でSen'Jinを殴られることです。後でAssassin's Bladeが出てきても困りますから、ここはやはりOozeを残してHero Powerで相手Heroを殴りますね」

 こうしたやり取りはプレイヤーとしての興味を刺激されるため、聞いていてとてもおもしろい。「ほかの人はこういうふうに考えるのか」と新鮮だったし、自分の考えている最善の動きと一致しないことがあれば、疑問点をその場で聞いて確認できる。対戦自体は最終的にShinzakiさんのMiracle Rogueが勝利したが、勝負の行方を見るよりも検討作業が楽しかったので、いつまでも周りと話していたかったという感じである。こういった検討会もまた、オフラインでなければできないことだ。


対戦後の様子

 将棋や囲碁の話になるが、タイトル戦が行われているとき、対局者以外のプロ棋士たちは別室に集まってタイトル戦の局面を検討していることが多い。また、対局後は感想戦といって、「何がまずかったのか、特定の局面で別の道を選んでいたらどうなっていたか」といったことを対戦相手と検討するのが慣例である。将棋や囲碁ではこうした検討作業が上達に欠かせないと言われている。

 今回のマリガン検討会も複数人で検討するという意味では、将棋や囲碁の習慣に近いものがあると思う。こうした活動が活発になれば、日本全体のHearthstoneプレイヤーのレベルも間違いなく上がっていくのではないだろうか。

 ただ、マリガン検討会のネックはターン内の制限時間である。特にMiracle Rogueのように1ターンの選択肢が多いデッキだと、「あれこれ検討している間に制限時間になって何も行動できずにターンが終わってしまう」ことが起こるのだ。したがって途中、参加者の1人からは「(お互いの1ターンの制限時間を15秒にするカード)Nozdormuを出せばMiracle Rogueには勝てますね」という冗談も飛んで来た。Blizzardにはぜひ、Hearthstoneのゲーム内に「ゲーム内の制限時間を変更できる」機能の追加をお願いしたいところである(もちろん、サイドボードや観戦モードといったほかの機能もあればそれに越したことはない)。

イベント感想
 マリガン検討会の対戦が一通り終わると、時間は終了予定の19時を過ぎていた。「ちょうどいい時間になりましたから、そろそろ閉めましょう」と主催者のShinzakiさんが声をかけると、私たちは緑ヶ丘文化会館の第2研修室で使用した椅子を元に戻し、忘れ物などがないことを確かめてから外に出たのだった。


撤収風景

 Shinzakiさんたちは今回のイベントやHearthstoneについて語り合うためそのまま飲み屋に行くという。非常に居心地のいい集まりだったから私も同行したかったのだが、体調があまり良くなかったので、早めに家に帰って休んだほうがいいと思い、後ろ髪を引かれながらも、ほかの人たちに挨拶をして駅に向かったのだった。

 こうして振り返ってみると、会場では本当に充実した時間を過ごせたと改めて思う。
 まずは緑ヶ丘文化会館という市民館の研修室という一見ゲームとは関係がなさそうな場所が新鮮だったし、リミテッド対戦会とマリガン検討会でもHearthstoneの別の形の楽しみ方を知ったという感触を得られた。
 また、Shinzakiさんも運営が巧みでイベントの進行がスムーズだったし、参加者も純粋にHearthstoneが好きな人たちばかりだったから会話も弾んだ。

 次の開催は未定のようだが、今回、Shinzakiさんも手応えを感じたらしく、次の「ゆるHearthstone会」の開催に向けていろいろとアイデアを練っているようだった。次回があれば私も必ず参加するつもりだし、その「ゆるHeathstone会」の模様もぜひレポートしたい。
参考記事(不倒城):ゆるHearthstone会が予想以上に楽しかった件

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